さてこれまでのコラムでは、主に「競売」と比較する形で、「任意売却」のメリットを数多くご紹介してきましたが、任意売却にもデメリットやリスクなどは存在します。

そこで今回のコラムでは、任意売却のメリットを簡単におさらいすると共に、実は厳密に言うと、任意売却が原因で引き起こされるデメリットではないものも含めて、任意売却を行う際には注意しておいた方が良い事例をいくつかご紹介します。

まず、任意売却においては「市場価格に近い価格での売却の可能性がある」ということが大きなメリットとして挙げられるでしょう。

また仲介業者が債券業者や買い手と交渉することで、退去するまでの猶予や、退去した際の引越し代金の還元など、さまざまな条件を契約に盛り込むことが可能です。

その中には、家を売却した後も家賃を支払って、元の家に住み続けることのできる「リースバック」も含まれます。

さらに「住宅が差し押さえられ、競売にかけられた」ということを公表されることがないために、プライバシーの確保が容易なことも精神的に大きな安心をもたらします。

では、一方で任意売却のリスク、デメリットにはどのようなものがあるのでしょうか？

まず挙げられるのは、法律に従って自動的に進んでいく競売に比べると、債権者や買い手との合意を取り付けるための手続きや交渉が非常に多いことです。

多くの作業は仲介業者にやってくれることと思いますが、そうした労力の果てに「必ずしも任意売却が成立する」という確約がある訳ではありません。買い手が見つからなければ競売になってしまうリスクはあります。

しかし、仲介業者の手数料に関しては一般的に成功報酬となっていますし、不成立のリスクがあると言っても、不成立になって初めて競売になる訳ですから、最初から諦めるよりはチャレンジしてみた方が可能性は開けると思います。

任意売却をした人はブラックリストに載り、しばらくの間、大きなローンが組めなくなりますが、これは任意売却が原因ではなくローンの滞納が原因です。

逆に言えば、任意売却が可能となっているほどローンが延滞している時点で、仮に任意売却を行わなかったとしても、既にブラックリストへの掲載は免れません。

そしてローンの支払が滞るということは、連帯保証人に請求がいくことになりますので、連帯保証人に迷惑をかけてしまうことになります。

連帯保証人が残債を返してしまうと、任意売却をすることはできません。また、原則として、連帯保証人の同意を得なければ任意売却を行うことはできません。任意売却をした後にも残債がある場合、それを支払う義務が連帯保証人にも課せられます。
そのため、任意売却の際の売却価格について、連帯保証人が納得しなければ売却することはできません。