さて、これまでのコラムでは「もしも、あなたがローンを滞納した結果、どのような手順で競売へと至るか」を、時系列を追いながらご紹介してきましたが、今回からはしばらく「任意売却」をテーマに据えて、そのメリットや事例などをいろんな角度から検討してみたいと思います。

まず今回はその基礎編として、「任意売却」と「競売」との違いを比較しつつ、その概要を解説してみたいと思います。

ローン返済に苦しんでいる方にとっては、「任意売却」における金銭面のメリットが大きくアピールできると思います。

これまでのコラムでも書いてきましたが、競売の場合、売りに出される家は非常に安い値段で売り払われる可能性が高く、通常、市場価格の半額から７割程度で落札されることが多いようです。一方で任意売却の場合は、ほぼ市場価格で売り抜くける可能性が高いと言われています。

ローンの返済は持ち家を売却した時点で終わる訳ではなく、その売上を引いた価格をその後も支払っていかなくてはならないことを考えると、「家をいくらで売却できるか」はその後の生活に大きな影響を与えます。

また、差し押さえを行われた上での強制的な売却ではないために、売却の時期や、売却先も選べますし、売却した後の引っ越し代の確保など、さまざまな条件を契約内容に織り込むこともできることなどから、私たちは断然、任意売却をおすすめしています。

前回のコラムで、競売が決まると「あなたの家が差し押さえられ、競売にかけられること」が新聞やインターネットを通じて公開されるほか、競売業者を初めとした多くの人があなたの家を下見に来るので、ご近所などに対しても、非常にプライバシーを保つことが難しいことを解説いたしました。

一方で任意売却においては、不動産会社が仲介に入り、守秘性を保ちながら売却を進めていくことが可能なため、あなたが置かれている状況を周囲に知られる危険性は非常に低くなります。

また、競売は売却が決まってしまえば、強制的に退去しなければなりませんが、任意売却においては、親族や第三者に家を売却した後も、その後、賃料を支払う形でその家に住み続ける「リースバック」という方法が利用可能です。

この方法に関しては、次回のコラムで詳しくご紹介いたしますが、「家を売却する＝もはや家に住めなくなる」ではないことは、しっかりと頭に入れておいて頂ければ幸いです。