さて任意売却でめでたく売却先が決まり、一括でかなりの金額が返済できたとします。

これは、あなたの新しい人生にとって大きな一歩に充分なり得る出来事です。しかし、すぐに経済的な好転が望める場合ばかりではありません。

そんな時に、意外と頭を悩ませることが多いのが、新居への引越し費用などの確保です。荷物を運ぶ引越し費用だけではなく、不動産会社に払う仲介手数料や敷金なども含めて考えると、かなりまとまった金額を用意しなくてはなりません。

今回は、そんな引越し費用の確保についてお話ししてみたいと思います

さて、これまでのコラムでも少し触れましたが、競売の場合「売却が決まれば、期限までに退去しなければならず、引越し費用なども基本的には自分持ち」なのに対し、任意売却の場合は引越し費用を債権者が支払ってくれる場合があります。

ただし、誤解しないでいただきたいのは、これは「債権者が引越し費用を負担しなければならない」という義務がある訳ではなく、あくまでも交渉によって「支払ってもらえる場合がある」ということです。

当然、引越しにかかる費用の全額を支払ってくれるかどうかも相手次第となりますし、支払われるのはどちらにしろ、決済の後です。

最初からそれをアテにしていると、思わぬ結果が出て慌てることにもなり兼ねませんので、なるべく自分でも引越し資金を確保できるように、努力する事が望ましいでしょう。

また任意売却の場合、売却時の契約条件に引越し費用の負担を盛り込むことで、債権者からではなく、買い手から引越し費用を支払ってもらうということも可能です。

まれに、最初から「任意売却後、必ず引越し費用が支払われること」を謳い文句にしている仲介業者でこの方法をすすめて来る業者もいると聞きますが、そもそも「引越し費用の負担」は買い手にとっては、本来であれば支払う必要の無い余分な出費となりますので、この条件があるがために、買い手との交渉が決裂したり、買い手がつかなくなったりする危険性も考えなくてはなりません。

「余分なお金を支払いたくない」という気持ちはわかりますし、交渉の結果、無理のない範囲で出してもらえるのであれば、それを有効活用すべきですが、最初から「引越し費用を相手方が負担する」ということにこだわると、まとまる話もまとまらなくなる危険性があります。